MBA流クリニック経営

第2回:「ライフサイクル理論から見るクリニック経営のポイント」
~ライフステージから考える、クリニック経営において“今”やるべきこと~

船井総合研究所 田熊考治氏

クリニック経営を行う上では、自身のクリニックがどのような成長ステージにあるのかを意識し、それぞれのステージに応じて、注力すべき課題に着実に取り組むという事が重要です。
その成長ステージを理解するために役立つ枠組みとして、ライフサイクル理論があります。本シリーズでは、クリニック経営をその成長ステージの分類から、重要な施策が何かを考察してみます。

本稿で学ぶポイント

  • クリニック経営を成長ステージで捉える考え方
  • クリニックの成長ステージ毎の経営上重要な注力ポイントへの理解

ライフサイクル論の概要について

ライフサイクル理論は、企業や製品の成長を人の成長に見立てて時間軸で整理した理論で、それぞれの成長ステージを創業期、成長期、成熟期、衰退期の4つに分け、各ステージにおいて経営上ポイントとなる施策を整理したものです(図1)

図1:医科クリニックのライフサイクル

ライフサイクル理論に自身のクリニックを当てはめ、現在置かれているステージを明確にすると、その時期に優先して取り組むべき課題を改めて認識することが可能です。

・創業期

創業期のクリニックの場合、言うまでもなく新患を集めることが何より重要になります。一口に集患力といっても看板や電話帳、口コミなどの広告媒体がありますが、近年、他の媒体に比べてホームページを中心としたWEB媒体の効果が高くなっており、WEBサイトの改善は即効性のある施策として非常に有効です。

・成長期

順調に成長する医院とそうでない医院の二極化が始まってきます。当たり前の基本的な取り組みを着実に行う医院が伸び、そうでない医院が伸び悩みます。一度来院した患者さんがリピーターとなっているかが大きなポイントです。

・成熟期

売上が高止まりし、いわゆる、「踊り場状態」になる時期です。このステージでは、成長期に伸び悩んでしまった負け組クリニックの売上が減少してしまうことはもちろんですが、成長期に計画的な経営施策をとって順調に売り上げを伸ばしてきた勝ち組クリニックでも売り上げが横這いとなってしまいます。再度の差別化、ブランド強化を図り、地域で確固たるポジションを築き、さらにクリニックの強みを伸ばすこと、あるいは負け組からのリバイバルプランを実行し、再浮上することが重要です。

・衰退期

このステージでは経営難、後継者等の人材不足により撤退・閉院する医院が出始めます。勝ち組医院は固有の強みをさらに伸ばす、弱みを克服するためのブランドの再構築・リフレッシュを行い、さらなる経営の安定化に向けた軌道修正を図ります。

成長ステージ上のポイントとなる取り組みを基本としてしっかり取り組む

ライフサイクル理論から見た戦略というのは、比較的シンプルな考え方で、“当たり前だろう”と思われることもあるかもしれません。ただし、私たちコンサルタントが実際のクリニック経営のコンサルティングの現場にいくと、この“当たり前”が出来ていない事が多いのです。日々の業務、様々な課題に忙殺され、取り組みの優先順位が不明瞭になり、重要な打ち手に甘さが見られ、経営的に苦しい立場に立つクリニックも珍しくありません。
皆さんのクリニックは今どのステージにあるのでしょうか。また、そのステージにおいて“当たり前”の重要な事に対して質の高い取り組みはできていますでしょうか。

次回以降、ライフサイクルステージ毎に、実際のクリニックの取り組みのケースから見る、当初の問題点、それからその解決策、打ち手を検討する上で有用な理論等をご紹介いたします。

筆者プロフィール

田熊 考治

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株式会社船井総合研究所
医療支援部 チームリーダー

入社以来、歯科・矯正歯科、医科では耳鼻科・小児科・美容外科などクリニックを中心とした医療業界のコンサルティングに従事。
現在は内科、心療内科、耳鼻咽喉科などの医科診療所に特化したコンサルティングを行っている。
クライアントの医院規模は1ドクター1スタッフにて運営する医院から、6名のドクターを要する大規模医院までさまざまである。
「一過性でない永続する強い医院作り」をテーマに、医院の現状に即した、具体的かつ即実践可能な提案がクライアントからの信頼を得ている。