MBA流クリニック経営

第6回:「クリニック経営に求められる3本柱」
~まずは「コミュニティ・マーケティング・チーム」を整える~

株式会社ドクター総合支援センター
代表取締役 近藤 隆二

クリニック経営において、経営者が着目すべき大きな視点があります。それは、コミュニティ、マーケティング、チームの3つです。クリニックを開院し、医業経営を始めてもなかなかうまくいかないことがあります。これまで多くのドクターのご相談を受けてきて、以下のような課題を抱える先生が多くいることに気づきました。

  • 医業経営の現状が良いのかどうかわからない
  • 医業経営に不安やストレスを感じている
  • 行動してもなかなか成果につながらない
  • 具体的に何をすれば良いのかわからない
  • 今行っていることが良いのかどうかわからない

本シリーズでは、こういった悩みを持つ院長にとって、自院の経営を改めて見直し、経営改善を図っていく視点として、コミュニティ、マーケティング、チーム「コ・マ・チ」の3つの視点を紹介して参ります。

本稿で学ぶポイント

  • クリニック経営の枠組みとして重要な3要素(コミュニティ・マーケティング・チーム)

【クリニック経営の3要素】

クリニック経営に関して、考えなくてはならない要素は細かく見ると無数にあります。そのような中、経営者としては細部にとらわれ過ぎず、太い枠組みで自院の経営を理解し、その枠組みに従って経営を実践していくことが重要です。
クリニックを経営するためには、不可欠な要素として必要最低限以上の収入を得続けなければなりません。収入がなければ利益が出ず、経営を継続することができないからです。

そのためには、

  1. 1.自院に来ていただける患者さんはどのような方々か明らかにし(コミュニティ)
  2. 2.その方々に自院のことをわかりやすくお伝えし選んでもらう(マーケティング)

ことが必要です。

そして、それを行うためには

  1. 3.クリニックというチームを整える(チーム)

ことが不可欠です。

つまりコミュニティ・マーケティング・チーム「コ・マ・チ」の3要素を整えることで経営をうまく行うことができるのです。
なお、ここでは財務に関する視点は別の機会に譲ることといたします。

・コミュニティ

コミュニティとは、自院を受診する可能性のある人々の集団のことです。地域の住民の方々、現在受診している患者さん、過去に受診した患者さん、患者さんの紹介が期待できる、規模の大きな病院や診療科目の異なるクリニック、介護施設などの医療機関、また、産業医や検診、推奨受診先として学校、企業、市町村、保険組合などと提携することもあるため、これらの団体・組織なども含まれます。自院のコミュニティに含まれる集団を明らかにすることで、より具体的なマーケティング施策につながります。

・マーケティング

マーケティングとは、コミュニティの方々に自院をよく理解してもらい、自院を選んで受診してもらうための活動のことです。たとえ、診療内容に自信があっても、そもそもコミュニティがその診療を必要としていなければ、また、患者さんがそれを知る手段がなければ、患者さんが自院を選択してくれることにはつながりません。コミュニティの構成員の傾向や医療へのニーズを知り(市場調査)、対象の患者さんに焦点を当て(ターゲッティング)、それに合わせて病院のサービスを作り(企画)、わかりやすくコミュニティの方々に伝えていく(広告)という一連の流れがあります。コミュニティを基礎に行う必要があるため、コミュニティとマーケティングは特に密接に関わる要素といえます。

・チーム

チームとは、クリニックのスタッフをはじめ、自院の経営を行うために協力関係となる人や組織のことです。薬局や薬の卸業者、製薬メーカーなど様々なパートナーや税理士・社会保険労務士のような専門家などもここに含まれます。また、最近ではウェブサイトの口コミなども広告として大きな役割を持つようになってきている背景があるため、患者さんもこのチームの一員と考えられます。開業する先生方の中で、経営について考えはじめるとき、真っ先にチームのことを考える先生はあまり多くないでしょう。しかし、チームの連携がうまくいかないことにより、マーケティングの幅を狭めてしまう院長先生は少なくありません。最大限にチームが協力、協働する体制を構築することにより、コミュニティ、マーケティングの幅も広くなっていきます。

【経営を「コ・マ・チ」の3要素に分解してとらえ、それを軸に具体的な経営施策を考える】

コミュニティ・マーケティング・チームそれぞれについては、経営に関する書籍などでも基本として取り上げられている要素です。しかし、これらがどのように具体的な経営施策に落とし込まれるのかがイメージできないことが、冒頭の「わからない」という悩みにつながるのです。このような、経営に関する悩みや迷いを抱える開業医の先生方は、まず経営を「コ・マ・チ」の3要素でシンプルに捉え、取り組みを明確化することが第一歩となります。さらに、「コ・マ・チ」の3要素の取り組みにつながりを持たせて発展させることにより、相乗的な効果を生み出し、さらに高い経営成果にもつながるものです。

次回から「コ・マ・チ」の3要素に具体的にどのように取り組んでいくのか、事例を交えてお伝えします。

以上

筆者プロフィール

近藤 隆二

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株式会社ドクター総合支援センター
代表取締役

2008年創業、2010年株式会社ドクター総合支援センターとして法人を設立。これまでに200件以上のコンサルティングと、50件以上の顧問契約を締結。
前職はファイナンシャルプランナーだが、お金の問題に留まらず、クリニック経営に関わる全てと、開業医のライフプランを含めた総合的なアドバイスができるゼネラリストとして、厚い信頼を寄せるドクターは多い。
温かい語り口で小さな疑問にも丁寧に対応。共に解決策を見出し、時には手厳しい指摘もする頼もしい存在として、今日も全国から多くの相談を受けている。