MBA流クリニック経営

第9回:「屋外広告を活用した即効集患術」
~意外と知られていない自院の存在~

株式会社 旭広告社
星 智則

自院の存在というものは院長先生が考えるほど近隣住民には知られていないものです。なぜなら医療機関は、自分や家族が病気になった時にしか興味が持たれないものだからです。そのようなとき自院の存在を思い出してもらうには継続的な医院告知が必要となります。第3回ではWEBサイトを使った集患術をご紹介しましたが、今回は日常生活で自然に目にする機会があって認知効果の高い電柱広告と屋外サインの活用についてご紹介します。

本稿で学ぶこと

  • 認知を図り、来院につなげる手段として、電柱広告と屋外サインのメリットを知る。

【ケース編】屋外広告の見直しと有効活用で集患に成功したクリニック

【クリニックの背景】

その内科クリニックは8階建ての雑居ビルの3階にありました。
院長先生は10年に渡る勤務医を経て開業に至りましたが、診療には自信があったので「腕が良ければ評判で患者は集まるだろう」と楽観視していました。クリニックの開業をサポートしてくれたコンサルタントも広告には経費をかけたくないスタンスであったため、開業の際の告知手段はHPの開設と新聞の折り込みチラシだけで済ませていました。

【問題点】

開院して3か月が経ちましたが、患者は1時間に数人で、時間帯によっては「0」の時もあり、院長は何かがおかしいと感じていました。ひょっとして自院の存在が知られていないのではないかと思い、医師仲間から紹介された広告代理店に相談することにしました。
広告の専門家のアドバイスによると、ビルの1階はコンビニで通行人の視線がそこに奪われるに加え、クリニックの窓には「A内科」と申し訳程度に書かれているだけだったので、これでは通行人は意識しない限り視界には入ってこないと指摘を受けました。

【改善策】

専門家はビルの入り口に何かしら自院の存在をアピールする仕掛けが必要なことをアドバイスしました。そこでビルのオーナーから許諾を取り、表通りに矢印の誘導案内をつけた屋外スタンドを設置して、通行人にクリニックの存在が分かるように改善しました。
さらに「内科」のみでは訴求が弱いため、「睡眠時無呼吸の相談に応じます」と得意としている診療内容を打ち出すことにしました。さらに秋から冬にかけては「インフルエンザの予防接種受け付けます」と書き足し、誰にでも来院してもらいやすいような工夫を行いました。

またこのクリニックの近隣は、マンションの建設や駅周辺の開発が進んでいるため、周辺の情報をこまめにキャッチして、状況に応じた広告戦略が必要なことを説明してくれました。そこでクリニックから200 m離れたところに完成間近のマンションが建つことと、商業施設の新設によって人通りが増えた道路の情報を教えてもらい、その周辺でそれぞれ10本程度の電柱広告を出すことにしました。

【結果】

広告を打ってから患者数も徐々に増えていき待合室にも活気が出てきました。初回来院アンケートによると、来院動機としては「屋外スタンド」が最も多く、「電柱広告」も設置した周辺の住民の目に止まっていることが分かりました。今では患者数が「0」の時間帯は解消され、一日50~80人の患者さんの診療に追われています。

【理論編】電柱広告と屋外サインの認知効果と誘導効果を活用する

潜在患者さんへクリニックの認知を図るためには、自然に目に入ってくる電柱広告や屋外サインを広告媒体の一つとして使うことが有効です。設置にあたってのポイントを解説していきます。

【電柱広告】

電柱広告は法的に認められた公道上に唯一掲出できる広告媒体で、一柱一広告で広告が雑居していないため、一本一本が周知と誘導効果を発揮してくれます。主に巻き広告、掛け広告の2通りがあり、地域により金額が異なりますが、月額の広告料は1,800円~3,000円が平均的で、1本から設置ができるため屋外広告の中では安価な媒体に入ります。

電柱広告の種類

電柱広告の出し方のポイントは以下の通りです。

  • 1、診療圏の状況をよく把握したうえで設置する
    設置場所をよく検討する必要があります。公共施設や商業施設など人々が多く集まるところへの設置が一番ですが、このような場所は人気があるため空を待たなければならない可能性があります。一方、大型施設の近くでなくても、そこまでへの導線となる道路、住宅街から主要な道路に出るまでに利用される道路、クリニックへ誘導するのに適した場所など診療圏の環境や患者さんの来院ルートを把握したうえで、設置場所、時には撤収も検討してみて下さい。
  • 2、ターゲット患者さんを把握する
    自院の診療内容を知ってもらいたい患者さんの行動範囲を把握したうえで設置場所を決めましょう。端的な例では、保育所の周りに小児科診療の広告を出すことは集患に直結します。また、プライマリーケアを中心とした診療の場合は高齢者が主なターゲットになりますし、専門外来が加わると若年層から中年層にもターゲットは広がります。ターゲットとなる患者さんの生活行動を捉えたうえで、その人たちの目に触れやすい場所への設置を検討してみてください。
    (診療圏の分析については第5回をご参考ください)
【屋外サイン】

屋外サインには様々な種類がありますが、今回は戸建て開業・ビル診開業どちらにも共通して利用いただけるスタンド看板と壁面看板について解説します。

  • 1、記載する診療内容と情報量
    看板へ記載する診療科目ですが、改善する前の事例のように「内科」だけでは漠然としていますので、得意としている診療内容を書くよう検討してみてください。
    内科・・・一般内科診療、生活習慣病の診断・治療、など
    呼吸器内科・・・気管支喘息、アレルギー性鼻炎、など
    このように具体的に書き加えれば、患者さんに専門性が高いというイメージを持ってもらうことができ、また他院との差別化を図ることができます。
    ここで注意しておきたいのは、記載できる表現には医療法で規制されているという点です。専門家と相談した上で決めましょう。

    またスタンド看板や壁面看板は立ち止まったり、近づいて見てもらえるメリットがありますが、歩行中に認知できる文字数は7~10字と言われていますので、できるだけ簡潔に表現するようにしましょう。
  • 2、自院への誘導効果を得るために、看板に工夫する
    看板にクリニックがある方向を指す矢印を入れることで、認知・誘導効果が高まります。また、通りすがりの人にとっては、何をやっているところなのか分からなかったり、クリニック内の様子が見えず不安に思うものです。来院のハードルを下げるために、診療内容を具体的に書いたり、院内写真の掲載などを検討しましょう。

【振り返りのポイント】

電柱広告も屋外サインも広告代理店と相談の上の設置となると思いますが、決して業者に任せっきりにせずに、院長先生もそれぞれの特徴についてご理解いただいた上でご相談されることをお勧めします。

電柱広告の設置のポイント
診療圏の状況をよく把握したうえで設置する
ターゲット患者さんを把握する
屋外サイン(スタンド看板・壁面看板)の設置のポイント
得意とする診療内容を具体的に記載する
自院への誘導効果を高めるために看板に工夫を加える

筆者プロフィール

星 智則

写真

株式会社 旭広告社  http://www.asahi-ad.co.jp
クロスメディア部 クロスメディアプロモーション課

医院開業広告に特化した開業支援をおこなっており、現在までに200件以上の医院開業に携わる。
各種広告媒体の展開ノウハウに通じ、開業後のサポートにも定評があり、ドクターからの信頼も厚い。(社)日本医院開業コンサルタント協会認定 コンサルタント。(社)日本医療経営実践協会認定 医療経営士。

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hoshi@asahi-ad.co.jp